2010年04月14日

営業組織においてもプロセスの改善で生産性は高まるか?

前々回からの続きです。
バブルの崩壊以降、失われた10年と言われる時代を経る中で、日本の営業組織は「資産」に対する働きかけによる組織能力(生産性)向上の限界を悟りました。もちろん、個々の組織の中には市場が右肩上がりだった時代の成功体験から逃れられず、根性論や精神論だけの人がまだまだ存在していることも確かですが。
 
2000年代前半頃から、営業の生産性向上の取組でもプロセスに注目が集まるようになりました。「営業プロセスマネジメント」や「組織営業」、「科学的営業」、「見える化」といったキーワードがもてはやされ、それらの考え方を紹介する書籍やセミナーも人気を集め、一定の成果をあげる企業もありました。CRMやSFAのパッケージソフトの制作やSIを生業とする企業が増えたのもこの時期です。

では、2000年前半以降、日本の営業組織はプロセスを改善することでその生産性を向上してきたか?答えはNoでしょう。
何故か?努力してこなかった組織はほとんどないと思います。社内の古い考えの人間が抵抗したから?システムを導入が目的化したから?あるいは欧米の真似ばかりして、日本の良いところを失った?
 
ここで一つの事例があります。ある事務機器の販社に、親会社の生産畑出身の社長が就任しました。その際、新人の営業マンが「先輩によって言うことが違うんです」と嘆くのを聞いて、「営業には生産ラインのように決められたプロセスが無い」ことを喝破し、コンサルを使って営業プロセスの構築を行いました。最適な新規開拓と競合製品のリプレース(置換)のプロセスシナリオを作りシステムを利用して営業マンがシナリオ通りに動いているかどうか見える化するなど、着実に取組みは続きました。営業現場からの抵抗がなかったわけではないですが、システムが使われないということもありませんでした。

結果は・・・残念なものとなりました。生産性は上がらず、数期連続で減収減益が続きました。タイミングで言えば市場は拡大している時のことです。何故か?前出の理由はどれも決定的ではありません。

この事例に限らず、多くの取組の中で実は大きな前提の見落としがあり、そこに気付いていないことが、営業の生産性向上の取組に混乱を生んでいます。それは、営業組織の能力を左右する「プロセス」は、その組織には内在しないということです。どういうことか?営業組織の能力を測るのに、売上や利益が上げられますが、要は顧客が自社にどれだけ発注をしたか?という事になります。即ち
「顧客が自社に発注した量=営業生産性」となり、
「営業生産性を左右するプロセス=顧客側に存在する」という事になります。

当り前ですが、顧客は自分(社)の購買プロセスを進める事で発注に至ります。即ち、一般的に言われる「営業プロセスシナリオ」という物は、顧客の購買プロセスの判断が、ある程度標準的に捉えられるケースにおいて、各局面でどの様な動きをすれば良いのか?を記した物となります。(※1)しかし実際の購買の判断というのは原則、各人各様、各社各様で違います。この点を無視して、自社にとって都合の良さそうな画一的なプロセスを構築(したつもり)でいても、顧客が購買の判断をしなければ全く生産性は上がらないという、当り前の事実を見落としてしまっているのです。(論理的に間違えている事に気付かない)

こうしたことが積み重なると、現場マネージャーは組織的に営業生産性を高めようとする取組に益々反発するようになり、取組みはさらに難しくなります。

では、営業組織の生産性を高めるために何が必要なのか?前々回の冒頭のマネージャーはどのような考え方が求められるのか、次回以降書いていきたいと思います。



(※1)例えば、ホームーページに商品の問い合わせをしてきた顧客は、一般的になるべく速い回答を望んでいることがわかっていれば、翌日までに必ず連絡をする、と言った対応をマニュアル化するなどがこれに該当します。
posted by 徳田龍二 at 13:22| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月10日

〜寄り道〜 ギターライブ @pocotan

長い文章がつづいているのでちょっと寄り道です。

昨日お誘いをいただいて、ギターライブに行ってきました。シンキングリード第3期のキックオフも兼ねて。

CA390162.jpg

会場は四谷三丁目にある”pocotan”というギターバーで、ギターライブは初めてだったのですが、素晴らしい演奏を聞きながらとても楽しく過ごさせていただきました。都内には結構こうしたギターバーがあるようです。

演奏は久保田 衛さん、大石善也さんのお二人で、久保田さんは昨年9月のシンキングリードの1周年パーティーの時にも素敵な演奏を披露してくださいました。
posted by 徳田龍二 at 12:42| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月09日

個人の営業スキルと組織の営業力 〜続き〜

 前回の記事で、長くなるのであえて分けたポイントがあります。冒頭のマネージャーの発言
「マネージャーは同行するなりして範を示すべき」
これは、部下のスキルをどうやって伸ばすか、つまり組織の能力に焦点をあてた発言ではないのか?という点です。

これはそのとおりなのですが、その前に少し視野を広げる必要があります。組織には当然色々な人間がいます。営業スキルに関して、90点の人間もいれば、60点や20点の人間もいるのが普通です。これら個人の営業スキルを総和したものが組織の営業力なのか?組織の能力を高めるには個々人の営業スキルを高めるしかないのか?

 「イノベーションのジレンマ」の中で、クレイトン・クリステンセン教授は組織の能力の枠組みを「価値基準」、「プロセス」、「資源」に分類しています。マネージャーが部下に同行してそのスキルを高めようとするのは、マネージャーの時間という資源の使い方であり、この分類では「資源」に対する働きかけになります。しかし当然資源には限りがあり、マネージャーが部下の同行に割ける時間はごく限られたものになります。

望むと望まないとに関わらずマネージャーは多くの会議や報告などの作業、あるいはトラブルが起こった際の火消しなどに多くの時間を取られます。資源に対してインパクトのある働きかけができなければ、組織の能力に対する影響も多く望むことはできません。(だからといって不要とは全く思いませんが)

組織の能力を考えていく上では残りの二つにも着目する必要があります。

「価値基準」は組織が仕事の優先順位を決める際の基準です。わかりやすいところでは、シェアを優先するのか、利益率を優先するのかという、どちらか100%という答えががないものについて、どこで判断するのかを決めるための組織を貫く考え方になります。

「プロセス」は文字どおり、一定のインプットに対して企業が価値を産み出す過程を示します。日本の製造業では、作業のマニュアル化やラインの改善など、このプロセスの改善による組織能力の向上を得意としてきました。

日本の営業の組織では、過去長い間これらの枠組みに対する働きかけがなされることは希でした。良いものを作れば売れるという時代は、資源にさえ働きかけていれば結果が出た=組織の能力が伸びていたからです。
 
もう少しこのテーマで続きます。
posted by 徳田龍二 at 17:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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